ひふみリーガルオフィス
長野県須坂市の司法書士事務所

コラム

実家が空き家になる前に考えたいこと

こんにちは。司法書士の中村です。

実家に誰も住まなくなった。
その後、どうなるんだろう。

皆さんの周りで、こういった問題はありませんか?
今現在、そして近い未来に、実際にあるだろうな、という本件を今回は取り上げます。

長野県では、親御さんが実家に住み続けていて、お子さんは進学や就職を機に県外で生活している、というご家庭も少なくありません。親御さんの施設への入所や相続をきっかけとして、須坂市や長野県内にある実家を、県外に住むお子さんが引き継ぐこともあります。

空き家の問題は、家が空き家になったときからではなく、まだ住んでいるときから考えておくのが良いと思います。

「誰がこの家を引き継ぐのか」
「親が住まなくなったらどうするのか」
「売るのか、貸すのか、残すのか」

こうしたことを元気なうちから考えておくことが、将来の空き家問題を防ぐ第一歩になります。

空き家をそのままにしておくと、何が問題になるの?

誰も住まなくなった家は、人が住んでいる家に比べて傷みやすくなります。
定期的に換気をしたり、庭の草木を手入れしたり、建物の状態を確認したりする人がいなければ、少しずつ管理が行き届かなくなっていきます。
その結果、
・建物の老朽化や倒壊
・屋根材や外壁などの落下
・草木の繁茂
・害虫や害獣の発生
・不法侵入
・ごみや悪臭の発生
・近隣の土地や道路への枝木の越境
などの問題が起こることがあります。

また、適切な管理がされていない空き家について、市区町村から「管理不全空家」や「特定空家」として指導を受け、さらに勧告を受けた場合には、その土地について固定資産税の住宅用地特例が受けられなくなることもあります。
「誰も住んでいないだけだから」とそのままにしておくことは、将来、大きな負担につながるかもしれません。

空き家と相続の深い関係

空き家について司法書士がご相談を受けるとき、非常に重要になるのが「相続と登記」です。

例えば、現在は誰も住んでいない実家について、
「登記を調べてみたら、亡くなった父の名義のままだった」
ということはよくあります。
さらに「実は祖父の名義のままだった」というケースもあります。

相続登記をしないまま年月が経過すると、当時の相続人が亡くなり、その方についてさらに相続が発生します。
その結果、当初は数人だった相続人が、次の世代、その次の世代へと広がり、非常に人数が多くなってしまうことは本当によくあります。
空き家を売りたいと思っても、まず相続関係を整理しなければならず、そこで初めて問題の大きさに気付く場合が多いです。

相続登記は義務になっています

2024(令和6)年4月1日から、相続登記が義務化されました。
原則として、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
また、2024年4月1日より前に発生していた相続についても、義務化の対象となります。
古い相続だから関係がない、ということではありません。
正当な理由なく相続登記の申請義務に違反した場合には、10万円以下の過料が科される可能性もあります。
「実家の名義が亡くなった親や祖父母のままになっているかも」という場合には、一度登記の状況を確認することをおすすめします。

「親が元気なうち」からの対策がおススメ

空き家対策というと、既に空き家になった建物をどう処分するかという話になりがちです。
しかし、本当に大切なのは「空き家になる前」の準備です。

例えば、親が一人で実家に暮らしている場合。
将来、施設へ入居したり、子どもと同居したりすれば、その家には誰も住まなくなるかもしれません。
そのとき、
「この家は残したいのか」
「子どもの誰かが住む予定はあるのか」
「誰も住まないのであれば売却するのか」
「亡くなった後、誰に引き継いでもらいたいのか」
ということを、親御さんが元気なうちに家族で話しておくことが大切です。
必要に応じて、遺言を作成して「誰に不動産を引き継いでもらうか」を明確にしておくことも、将来の空き家対策の一つです。

所有者が認知症になってからでは、簡単に売却できないことがあります

もう一つ注意していただきたいのが、所有者の判断能力です。
例えば、「父名義の実家があります。父は施設に入ったので、子どもたちで相談して実家を売却したい」という場合です。
お父様に十分な判断能力があれば、ご本人の意思によって売却することができますが、認知症などによって売買契約の内容を理解し、判断する能力が十分でない状態になっている場合には、たとえ子ども全員が売却に賛成していても、子どもが当然に本人に代わって不動産を売却できるわけではありません。

状況によっては、成年後見制度の利用を検討する必要があります。

だからこそ、「まだ元気だから大丈夫」ではなく、元気なうちに将来の家のことを考える、というのがおススメであり、とても重要な空き家対策となります。

「相続放棄をすれば関係なくなる」とは限りません

「使う予定のない実家なら、相続放棄をすればよいのでは?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
相続放棄は、原則として、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。また、現在(2026/09)の民法では、相続放棄をした人が、相続放棄の時点でその空き家などの相続財産を「現に占有」している場合には、その財産を相続人や相続財産清算人へ引き渡すまで、一定の保存義務を負うことがあります。
したがって、「相続放棄をすれば、必ずその日から空き家について何もしなくてよい」と単純に考えることはできません。
相続放棄を検討するときには、借金などの負債だけでなく、不動産の状況についても確認しておくことが大切です。

空き家について、司法書士がお手伝いできること

空き家の問題には、不動産、相続、成年後見、売却など、いくつもの問題が関係します。
司法書士は、特にその中の「誰が所有者なのか」「これから誰に引き継ぐのか」という権利関係を整理することを得意とする専門家です。
例えば、次のような場面でお手伝いすることができます。
・登記事項を確認し、現在の登記名義を調べる
・戸籍を収集して相続人を調査する
・遺産分割協議に基づく相続登記を行う
・将来の相続に備えて遺言作成を支援する
・相続放棄に必要な家庭裁判所提出書類を作成する
・認知症などの場合に成年後見制度の利用を支援する
・売却が決まった場合に所有権移転登記を行う
もちろん、空き家問題のすべてを司法書士だけで解決できるわけではありません。
建物の状態、境界、測量、解体、売却、税金などについては、不動産会社、土地家屋調査士、税理士、建築・解体業者など、他の専門家との連携が必要になることもあります。
大切なのは、問題を長期間そのままにしないことです。

実家のこれから、元気なうちに話してみませんか

空き家は、最初から「問題のある家」だったわけではありません。
多くの場合、そこは誰かが長年暮らし、家族の思い出が残っている家です。
だからこそ、いざ処分するとなると、
「できれば残したい」
「でも、自分は住めない」
「兄弟も遠方に住んでいる」
「親が元気なうちに売るという話はしにくい」
など、気持ちの整理がつかないこともあると思います。
それでも、何も決めないまま年月が経つと、建物は古くなり、相続関係は複雑になり、選択できる方法が少なくなってしまう可能性があります。
空き家対策は、「家を処分するための話」というだけではありません。
大切な家を、次の世代にどのような形で引き継ぐのか。
そのことを、家族が元気なうちから考えておくことも、大切な空き家対策です。

空き家・実家の相続でお困りの方へ

司法書士事務所ひふみリーガルオフィスでは、空き家やご実家に関する相続登記、遺産分割、遺言、成年後見などのご相談をお受けしています。

「実家が親名義のままになっている」
「相続したけれど、誰も住む予定がない」
「親が施設に入ることになり、実家をどうすればよいか分からない」
「長野県内に実家があるけれど、自分は県外に住んでいる」
「将来、子どもたちに空き家を残したくない」

まだまだ先の段階でも構いません。
まだ売却するのか、残すのかを決めていなくても大丈夫です。
まず現在の登記名義や相続関係を確認し、どのような選択肢があるのかを整理することから始めてみてください。

空き家のご相談では、
「まだ何も決まっていないのですが、相談してもいいですか?」
とお話しになる方も少なくありません。
もちろん、売るか、残すかを決めてから司法書士に相談する必要はありません。
むしろ、まだ方向性が決まっていない段階だからこそ、まず現在の名義や相続関係を確認して、「今できること」「将来必要になること」を整理しておくことが大切だと考えています。
ご実家について、相続や今後のことが気になっている方は、ひふみリーガルオフィスまで、どうぞお気軽にご相談くださいね。お電話(026-403-0218)、LINE、お問合せフォームから、お気軽にどうぞ。

今回のコラムは以上です。また次回、お役立ち情報をコラムにできたらと思っています。
お読みいただきありがとうございます!

ひふみリーガルオフィス
司法書士 中村 純代