二次相続リスクを考えよう~不動産の相続~
現在(2025.10)の法律では、配偶者が相続した遺産額が1億6,000万円以下の場合は、相続税の配偶者控除によって、配偶者に相続税はかかりません。さらに、配偶者が相続した遺産が1億6,000万円より多くても、法定相続分を超えなければ相続税はかかりません。
さて、このような場合、相続税がかかりそうなときはどうするのが良いでしょうか?
例えば、お父さんが亡くなって、相続人が妻であるお母さんと子2人の場合、遺産が1億円あったとしても、お母さんが全て相続した場合は相続税がかからないことになります。(相続税の申告をすることや、遺産の分割方法が決まっていること、申告漏れがないこと、などの多くの要件を満たす必要があります)
じゃあ、それがいいんじゃないか?とする前に、二次相続のリスクを考えてみましょう(特に不動産の相続の場合)、というのが今回のコラムの内容になります。
一次相続と二次相続とは
夫婦の片方(父とします)が亡くなったとき、その父の相続を「一次相続」といい、一次相続で遺産を取得した母が亡くなったときの相続を「二次相続」といいます。
上記のケースの例で、夫婦の間に子が1人いたとして、父の相続(一次相続)で、母と子が遺産分割したとします。そんなときは、「配偶者控除を使えば相続税額が0になる」ということで、利用したほうがお得だと考えて、一次相続の際に、母が子よりも多めに財産を相続したくなります。
しかし実際は、遺産の額によりますが、子については相続税が2回課税される場合もあるのです。一次相続と二次相続を合わせて考えると、子の相続税の負担がかなり重くなることも。
これには、二次相続についての下記の特徴が考えられます。
〇一次相続より相続人が1人減るので、基礎控除額などが減る
〇二次相続の相続税の配偶者控除がない
〇一次相続で引き継いだ財産について、配偶者自身の財産も加算される場合がある
〇上記3つの原因で相続財産が増えると、高い税率区分に該当することとなる場合がある
それぞれの項目では、もっと細かな場合分けによって、適用のある控除が存在したり等、複雑な内容となっているので、税理士さんではない司法書士の書くこのコラムでは省略させていただきます。(例えば、二次相続では配偶者控除がない、という場合について、一次相続と二次相続が10年以内に相次いで発生した場合には、両方の法定相続人である子は「相次相続控除」を適用でき、一定の税額の軽減があったりします。)
不動産を相続する人についてよく考えよう
司法書士は「税」の専門家では無いため、相続税については詳しく申し上げられませんが、不動産を相続により取得する人については、二次相続のリスクとして、司法書士としての業務から申し上げられることがあります。
亡くなった方が不動産を所有していた場合には、「相続登記」として相続人の名義に変更するお手続きをしますが、その際、亡くなった方(お父さんとします)の配偶者(お母さんとします)の名義とすると、お母さんも亡くなった場合に、また同じように「相続登記」によって不動産の名義変更が必要となります。
もしお父さんが亡くなったときの相続(一次相続)でお子さんの名義に変更した場合は、お母さんが亡くなった場合(二次相続)に、不動産についての相続登記は不要となります。
このように、一次相続の遺産分割をする際は、二次相続まで見据えてご検討されるのがおススメです。
なお、一次相続で、お母さんが不動産を全てお子さんの名義にすることに不安がある場合は、「配偶者居住権」の登記もできます。
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