ひふみリーガルオフィス
長野県須坂市の司法書士事務所

コラム

公正証書遺言を遺した人が亡くなったら

公正証書遺言を作成した人が亡くなったとき、残された人はどうするのがよいでしょうか。遺言書に遺言執行者がいない場合は、相続人や受遺者が自ら相続手続きを進めなければなりません。遺言者が死亡した後の対処方法や手続きの流れを見てみましょう。

公正証書遺言とは

公正証書遺言は、公証役場、という全国に約300カ所ある役場で公証人が遺言者本人から遺言の内容を聞いて作成する遺言書です。これに対し、遺言者が自分一人で作成する遺言書は、自筆証書遺言といいます。公正証書遺言は、専門家が関わるため無効になるリスクが低く、原本は公証役場で保管されるため、紛失や偽造の心配がないことが大きなメリットです。また、相続発生後の家庭裁判所での検認手続きも不要で、スムーズに遺言の執行が可能になります。

待っていても公証役場から通知は来ない

公正証書遺言の遺言者が死亡しても、公証役場から相続人に通知は来ません。

公証役場は、公正証書遺言の原本を保管していますが、遺言者が亡くなった際に通知する義務は無いのです。

ですので、公正証書遺言について遺言者の身近な関係者が知らない場合は、公証役場の遺言検索システムで検索(検索利用料は無料)してみるのがよいでしょう。なお、検索システムで探せるのは、平成元年以降の遺言に限られていることに注意が必要です。

公正証書遺言が見つかったらすること

1.内容の確認

まず最初に、内容の確認をしましょう。

公正証書遺言は、見つかったらその場で開いて内容の確認ができます。(※自筆証書遺言の場合は、裁判所の検認が必要なため、検認の場までは封を開けることはできません。)

できれば、法定相続人の全員が目を通し、遺言者の意向をしっかり理解しましょう。

2.遺言執行者の有無を確認

次に、遺言書の遺言執行者の指定を確認します。

遺言執行者とは、遺言者の死後、遺言の内容を実現するための権利・義務を負う人です。遺言執行者が指定されていない場合、相続人全員が協力して相続手続きを進めなければなりませんが、遺言執行者がいれば、相続手続きは遺言執行者が行います。また、遺言書の内容によっては、必ず遺言執行者の指定・選任が必要となります。

 3.遺言書に従い、相続手続きをする

相続にかかる財産の内容により手続きは様々です。確認をしながら順番に進めていきます。

原則として、遺言者の死亡の日の翌日から数えて、10か月以内に相続税の申告、3年以内に不動産の相続登記を行う義務があります。この他にも、期限があるものは優先的に行ったほうがよいでしょう。

まとめ

公正証書遺言は、財産を自分の思いどおりに人に渡したいときに有効な方法です。

遺言書を作成したら、残された人がスムーズに手続きできるように、保管場所を周りの人に知らせておくのがお勧めです。

遺言の内容については、専門家に相談しながら作成をしたほうがよいでしょう。

ひふみリーガルオフィスでは、公正証書遺言の作成や、遺言書案の作成などのご相談を受け付けています。ぜひ一度お問合せください。