買戻特約ってなんだろ

不動産の名義変更をするときに、たまに「買戻(かいもどし)特約」がついていたりします。
これは、、なんだろう??と戸惑われる場合が多いので解説します。
お金を全部返せば、不動産が戻ってくる
不動産売買で売買の契約をするときに、売主さん・買主さんは、「買戻特約」を付けることができます。
具体的には、「売主は、売買代金(別途合意した金額があるときは、その金額)及び契約の費用を返還すれば、売買の解除をすることができる」との特約です(民法579条)。つまり、お金を全部返せば、不動産が戻ってくる、という約束を前もってしておくのです。
この特約を「買戻しの特約(買戻特約)」といい、買戻特約に基づく解除権を「買戻権」といいます。
買戻特約をよく見かけるのは、住宅供給公社や都市再生機構などの公的な機関が宅地や集合住宅の分譲をするときの登記簿です。県の住宅供給公社などが行う宅地分譲は、「土地を買って、建物を建てて、そこに住みたい」という人のために行うものなので、売買契約に「買主は、購入後一定期間は本件土地を売却(転売)してはならない」といった約定が付されており、これを守らなかった場合は、売主である住宅供給公社が売買契約を解除して物件を買い戻すことができる…といったものです。
なお、買い戻し特約の期間は、最長でも10年までと決められています(民法580条)。
期間の定めがないと、買主はいつまで経ってもこの特約に縛られてしまうからです。
買戻特約は期間満了で時効になる!
買戻特約で定めた期間が満了した場合、時効となり、効力を失います。
効力を失ってしまった場合、当然ながら売主さんが、お金を全額返したとしても不動産を戻してもらう権利はなくなり、買主さんは、不動産を自由に売買できるようになります。
ただし、期限切れになったからといって、勝手に登記簿の内容が変更されるわけではありません。
買主さんが、不動産を売却したりする際には、その前提として買戻特約の抹消登記手続きが必要です。
実際のところあまり見かけない理由
買戻特約について説明しましたが、実際のところは、個人間の売買取引で利用されることはほぼありません。
なぜならば、特約の期間内は、売主さんにとっては、お金を全部返せば不動産を手放さなくて済む、といったメリットがある一方、買主さんにとってはメリットが無く、買主が見つかりづらくなるというデメリットがあるのです。
さらに言えば、期間限定で不動産を所有したい人は、ごく稀です。一定期間だけ不動産を使いたい、というのであれば、賃貸物件を探す人がほとんどでしょう。不動産を所有したいのであれば、わざわざ買戻特約のついた物件は選びません。
さらにさらに、買戻特約は、後から付けることはできないので、売買契約と同時に手続きを行う必要があるのです。
買戻特約が利用される場面としては、新築マンションなどを転売目的で購入する人を排除するために、不動産業者さんが契約に付加するケースです。買戻特約を付加することで、もし転売されてしまったとしても買い戻すことができ、実質の転売禁止にできるのです。
買戻し特約については専門家へ
大切な不動産だから、買戻特約を付けて売りたい、というご希望をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。また、お金の貸借りに不動産の担保を付けたい、というケースもあります。
買戻特約については専門家へご相談されるのをお勧めします。ぜひ当事務所へご相談くださいね。
買戻特約の抹消手続きも迅速に対応いたします!